相続における税理士の選び方

相続税は依頼する税理士によって納税額が異なることをご存知ですか?

「税理士」というと税金に関することは何でも対応できると思われがちですが、医者に外科・整形外科・内科等の専門分野があるように、税理士にも相続税、法人税、消費税、所得税と専門分野があります。

なかでも、相続税は発生件数が少なく、税理士一人が手がける相続税申告件数は年間0.6件とも言われています。つまり、日本の税理士の中には一度も相続税申告を経験したことがない税理士も数多く存在するのです。

そういった税理士に相続税申告を依頼することは、専門外の医者に手術を依頼することと同じなのです。

では、相続について相談する税理士は、どのように選べばよいのでしょうか。
税理士にも専門分野があります

国内の相続税申告数と税理士数
相続税申告数
(平成23年)
税理士数
(平成23年)
税理士一人当たり
相続税申告数
51,559件 72,635人 0.71件/人

表は、国税庁が毎年発表している「国税庁統計年報(平成23年度)」から抜粋してきたものです。

全国に税理士は約7万人いますが、相続税申告の件数は年間で約5万件しかありません。つまり、税理士は相続税については年間に1件経験するかどうかというのが現実なのです。

相続税申告は、上記のように経験できる機会が少なく、必要となる知識も異なるため、一般的な税理士にとって特殊分野です。いくら税理士と言えども、相続税の実務経験がないと相続税に関しては良い仕事ができません。

したがって、相続については相談する税理士を見極める必要があります。

相続における税理士選びのポイント

全体のスケジュールを的確に説明してくれるか?

相続は発生から申告まで10ヶ月の期間を要しますが、一番重要なのは、相続財産の情報収集・調査、相続財産の分け方を決めていくスケジュール管理です。

相続人全員が同じ地域に住んでいなかったり、平日に自由に動けなかったり、相続に関する知識が豊富でなかったりする中で、税理士が全体像を把握してコントロールしてくれるかどうかで、お客様の負担は大きく異なります。

したがって、相続の全体像や必要な手続き、スケジュールを的確に説明してくれる税理士を選びましょう。

複数人体制でサポートしてくれるか?

相続においては、特例の適用、相続後の売却、父の相続後における母の相続(二次相続)など、様々な視点で最適解を見つけていく必要があります。

そのため、一人よりも複数人で議論を交わす環境のある税理士の方が柔軟な提案や発想が生まれやすくなり、お客様にとって最善のサポートとなりやすくなります。

したがって、複数人体制でサポートしてくれる税理士を選びましょう。

現地調査や様々な調整を積極的に行ってくれるか?

相続における税理士の重要な役割のひとつが「相続財産の価格評価」です。
相続財産を低く評価することができれば相続税の負担を軽減すること(節税)が可能になるわけですが、財産評価の引き下げ要因は積極的に現地を訪れることでしか見つけることができません。

また、相続を行う過程では、相続人の他にも様々な方面での調整が必要になってきます。そうした調整について積極的にアドバイス、あるいは行動してくれることで、お客様の負担は大きく変わります。

したがって、実際に現地に訪れたり、様々な調整を積極的に行ってくれる行動力のある税理士を選びましょう。

相続税申告後のことまで考えたサポートをしてくれるか?

相続税申告後に税務署による税務調査が実施される可能性があります。ただし、税務調査は相続税申告書に添付される資料によって実施される可能性が大きく異なります。

また、資産売却、収益不動産の管理・運営コンサルティングなど、相続後に必要なことは思いのほか多いものです。

したがって、相続税申告が終わった後のことまで見据えたサポートをしてくれる税理士を選びましょう。